また辞めたくなっている。前の職場も、その前も、同じくらいの時期に同じことを感じた——。転職を繰り返していると、「続かないのは自分のせいだ」と思うようになります。この記事では、その繰り返しにパターンがあるのかどうかを確かめる方法と、次で止めるための具体的な手順をまとめます。
結論:繰り返しを止めるには、「辞めた理由」ではなく「入った理由」を並べてください
転職を繰り返す方の多くは、辞めた理由をよく覚えています。人間関係、業務量、給料。けれど、入るときに何を確認したかは、あまり覚えていません。
ここに繰り返しの原因があります。辞める理由は毎回違って見えても、選び方が同じなら、同じ条件の職場に入り続けます。
まずやってほしいのは、これまでの職場を紙に並べて、次の3列を埋めることです。
| 職場 | 入ると決めた理由 | 辞めた理由 |
|---|---|---|
| 1つ目 | 例:家から近かった/すぐ採用された | 例:教えてもらえなかった |
| 2つ目 | 例:給料が少し高かった | 例:人手が足りず休憩が取れなかった |
| 3つ目 | 例:面接の人が優しかった | 例:指示が人によって違った |
真ん中の列に「条件」ではなく「印象」や「すぐ決まったから」が並んでいたら、そこが繰り返しの入口です。
「続かない」の正体は、たいてい次の3つのどれかです
1. 毎回、同じ弱点のある職場を選んでいる
手順書がない、指導担当が決まっていない、欠員を補充しない。この3つが揃った職場は、誰が入っても同じ時期に同じことで苦しみます。選び方を変えないかぎり、職場を変えても再現します。
2. 施設形態が自分の特性と合っていない
同時進行が苦手な人が、常に複数対応を求められる環境にいる。人との距離が近いほうが力を発揮する人が、大人数のフロアにいる。「介護が合わない」のではなく「形態が合っていない」だけのことがあります。
3. 限界まで我慢してから動いている
心身が消耗した状態で辞め、すぐ次を決めなければと焦って、確認しないまま入る。この順番自体が、次の短期離職を用意してしまいます。
「転職回数が多いと不利」はどこまで本当か
正直に書きます。回数が多いこと自体を気にする採用担当はいます。ただし、介護業界では次の点も同時に見られています。
- 介護職員と訪問介護員を合わせた離職率は12.4%で、2年連続の低下。一方、従業員が不足していると答えた事業所は65.2%にのぼります。人材を求めている職場は多い状況です。
- 資格と実務経験は、そのまま次の職場で使えます。年数が積み上がっていれば、回数だけで判断されるわけではありません。
- 説明できるかどうかのほうが重視されます。「なぜ辞めたか」より「次に何を求めているか」を語れる人は、回数に関わらず評価されます。
出典:公益財団法人 介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査」(2025年7月28日公表)
次で止めるための3ステップ
ステップ1:譲れない条件を3つだけ決める
多いと選べなくなります。3つに絞ってください。例えば——
- 手順書があり、指導担当が決まっている
- 夜勤は月〇回まで/夜勤なし
- 移乗介助にリフト等の福祉用具を使っている
厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」では、腰部に著しく負担がかかる移乗介助等について、リフト等の福祉用具を積極的に使用し、原則として人力による人の抱え上げは行わせないとされています。福祉用具の導入状況を条件にするのは、正当な基準です。
ステップ2:見学で現場を見せてもらう
応接室だけで決めない。働くフロアを見せてもらえるかどうかが、最初のふるいになります。説明が途切れた数分間の空気を見てください。
ステップ3:面接で前任者の退職理由を聞く
「前の方はどういう理由で退職されましたか」。この質問への答え方に、その職場の体質が出ます。個人の資質の話で終わる職場は、辞めた原因を職場側の課題として捉えていない可能性があります。
【採用する側から見た】短期離職を繰り返す人と、そこで止まる人の違い
介護現場と採用の両方を経験したキャリアアドバイザーの視点です。
止まる人は、条件を言語化しています
「人間関係が良いところがいいです」ではなく、「手順書があって、指導担当が固定されている職場がいいです」と言える。抽象的な希望は、抽象的な職場選びにつながります。
止まる人は、在職中に動いています
辞めてから探すと、生活のために早く決める必要が出て、確認する余裕がなくなります。収入が続いている状態は、それ自体が交渉力です。
止まる人は、面接で質問しています
質問しない人は、入ってから初めて知ることになります。面接は選ばれる場であると同時に、確かめる場です。質問して感じが悪くなる職場なら、そこで分かってよかったということです。
回数そのものより、直近の勤続が見られています
過去に短い在職が並んでいても、直近で年単位の勤続があれば、印象はかなり変わります。次の1社を長くすることが、履歴を立て直す最短の方法です。
まとめ
- 繰り返しを止めるには、「辞めた理由」ではなく「入ると決めた理由」を並べてください。そこに条件ではなく印象が並んでいたら、それが原因です。
- 手順書がない・指導担当が決まっていない・欠員を補充しない、が揃った職場は誰が入っても同じ結果になります。
- 「介護が合わない」のではなく「施設形態が合っていない」だけのこともあります。
- 譲れない条件を3つに絞る/現場を見せてもらう/前任者の退職理由を聞く。この3ステップで選び方が変わります。
- 回数そのものより、直近の勤続と、次に何を求めているかを語れるかが見られています。



